遺言書があればよかったのに・・・
2015/03/25
新宿区四谷の弁護士水野智之です。
今日は相続の話題に触れてみたいと思います。
相続で揉める一番の原因に,被相続人が遺言書を書いていなかったからということがあります。
実際,遺言書があればこんなに揉めなかったのに・・・というケースはいくつも見てきました。
例えば,相続人の一人(ここではAとします。)が被相続人である親から生前,「Aに多くの財産を残すが,ほかの相続人にも少しは分けてあげるんだよ」と言っていたなどと主張して,ほかの相続人に対し,ほとんどの財産をAが一人占めするという遺産分割協議書に判を押すよう迫ってきたというケースがありました。
Aの主張は何の裏付けもないもので,当然,通るわけはないのですが,Aは親から聞いたなどと言って頑としてこちらの提案を受け入れることはありません。
遺言書があればこのような問題も避けることはできました。
ただ,遺言書を書くにしても,どうすればいいのか分からないという方もおられると思います。
遺言書には自筆証書遺言,公正証書遺言,秘密証書遺言があります(なお,厳密には,ほかに危急時遺言と隔絶地遺言もありますが,特殊なケースなのでここでは割愛します。)
このうち,秘密証書遺言は遺言の内容を秘密にしながら,公証人役場で作成するものですが,内容次第では遺言が無効になってしまうリスクがあるためお勧めしません。
また,自筆証書遺言は誰でもその場で書けるという点では便利ですが,法律の素人の方が書くためほかの人には内容がよくわからないといった問題が残ります。実際,自筆証書遺言の解釈で揉めて,仲がよかった姉妹が調停を機に疎遠になってしまったといったこともありました。
一番のお勧めは公正証書遺言です。
なぜならば,遺言の内容について公証人も確認しますので,無効となるリスクが極めて低いからです。費用は掛かりますが,それほど多額になることもありません。
また、体力が弱ってしまったり、病気等なんらかの事情で遺言者が公証人役場まで行けないときは、遺言者の自宅又は病院等へ公証人に出張してもらうことも可能です。
ただ,最近は,遺言書を書いたとしても,相続人の一人にすべての財産を相続させる旨の遺言を残される方もおられます。
こういった内容の遺言も遺留分の問題が生じかねません。公正証書遺言でも遺留分の問題については何のケアもされていないことが多く,トラブルが生じたというご相談を受けることは少なくありません。
相続で揉めないようにするためには,遺言書の内容を弁護士にも確認してもらってよく精査されることをお勧めします。
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弁護士 水野智之
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