気を付けたい,相続の際の葬儀費用や香典
2015/05/12
新宿区四谷の弁護士水野智之です。
今日は台風で外は激しい雨が降っています。お帰りの際は気をつけてください。
さて相続で必ず発生することになる葬儀費用ですが,遺産分割をするときには注意が必要です。
葬儀費用とは具体的には,棺や祭具など葬式場設営にかかる費用,火葬,通夜や告別式の参列者の飲食費用,納骨などに要する費用です。
これらの費用は相続開始後に発生するものなので,厳密な話をすると,遺産分割の対象には含まれません。つまり,どういうことかというと,葬儀費用は相続人全員が必ず負担しなければならないというものではないということです。
そのため,葬儀費用については祭祀承継者(いわゆる喪主)が負担するという考え方も成り立ちえます。実際そのように判断した名古屋高裁の裁判例もあります。
ただ,多くの場合は,相続人全員の合意の下,遺産から葬儀費用を捻出しています。
もっとも,喪主とならず,葬儀にも参列させてもらえなかった相続人は,葬儀費用の負担を拒絶するようなケースもありますので,当たり前のように,遺産から葬儀費用を捻出するのは気を付けた方がいいのです。
また,同じ問題は香典にもあります。
香典は葬儀費用の負担を軽減する相互扶助の目的で祭祀承継者に贈与された金銭と考えられています。
そのため,香典の金額が葬儀費用および香典返しの額を上回る場合の差額は喪主が取得することになります。
ただし,相続人全員の合意があれば葬儀費用の計算に組み入れることは可能です。
----------------------------------------------------------------------
弁護士 水野智之
東京都千代田区麹町4-4-5
麹町シャインビル 803号室
電話番号 :
03-6380-4935
FAX番号 :
03-6380-4936
----------------------------------------------------------------------